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風で育つファーニチャー
普段、植物は静止していて全く動いていないように見える。しかし、実際には人間と同じように育ち、どんどん動き、種から芽を出し、花を咲かせ、散っていく。 地球が回り、人が歩き、大陸が移動し、猫が昼寝し、人が死の直前の5秒で人生のすべてを振り返り、テレビを見ながら全く意識しない5秒を過ごす。全く同じ時間でも、その対象や状況に応じて、そのスケールと質は全く異なる。そして最近ではネット上で生活の大半を過ごしている人たちも増加し、人間が感じる時間はより多様になり、複雑化している。そんな現代社会で、時間の流れに「違和感」を感じる作品を制作し、その違和感によって今まで何の疑問も持たずに過ごしていた「時間の流れ」を再考してほしい。作品をみた鑑賞者たちがその帰路で、普段見過ごしていた夕日に気がつき、刻々と流れる時間とともにドラマティックに変化する空の色や風の触感に気がついてくれたら幸いだ。
加藤 ユウ
学際情報学府、学際情報学専攻、文化・人間情報学コース 荒川研究室
武蔵野美術大学卒業、2年間世界を旅して、現在、東京大学大学院学際情報学府修士1年生